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今年も25度を越える日がやってきました。セーターたちも こらから5ヶ月間は
タンスの中で留守番です。本格的な夏が始まります。
先週の7日 悲しい知らせが日本に入ってきました。私達の仲間である スペインの
セベ・バレステロスが亡くなりました。ゴルファーの中で私の一番の憧れの選手でした。
年齢は 私より一つ上の54歳でした。ここ数年体調を崩し 心配をしていましたが
残念です。
年齢は一つしか違いませんが 彼が活躍し始めたのは 彼が二十歳前後。まだ私は
ゴルフを始めていませんでした。私が海外の試合に出始めた1993年頃 彼の近くで
プレーができたのですが ロープの外で見ていた時と同じように 一緒にプレーをしても
私自身がギャラーリーになりたいくらいの魅力のあるプレーを見せてくれました。
今でも覚えています。日本で11月に行われるダンロップ・フェニックスで 一緒にプレーを
した時のこと。1番ホール 私はフェアウエイにティーショットを打ちました。セベは
強いフックボールを打ち 左の林の中へ。皆さんもご存知だと思いますが
宮崎のフェニックス・カントリークラブの林の中は 松の木が密集していて
林の中からグリーンを狙うことは 不可能に近いゴルフ場です。
それもセベのボールは 左の林の奥のほうでした。
そこからです。はじめボールが見つからなかったので 林の中を一緒に探していました。
そして 彼のボールを見つけ その状況を見たのですが どう見ても 林から脱出できれば
上出来という場所でした。私は先に自分のボールを打ち 彼のプレーを待っていると
彼はなかなか打たないのです。彼を見ると グリーン方向の林の上のほうを見て
隙間を探していたのです。
グリーン方向には 隙間なし。彼が見つけたのは グリーンに向かって右45度の方向の
上空の少しの隙間。距離はまだ180ヤード近く。そこから彼の打ったボールは
その隙間を抜け 林から出ると 強いフックがかかり グリーンのすぐ右まで飛んで
行きました。そしてなんなくパーセーブ。思わず笑ってしまいそうになるくらいの
スーパーショット。
天才とは 彼のことだと思っています。
現在の世界の第一人者であるタイガーまで いろいろな選手を見てきましたが やはり
天才と思えたのは 彼だけです。他の選手は すばらしい というくらいのプレーは
見せてくれますが 自分のプレーをやめてまで 見ていたいと思わせてくれた
ゴルファーは 彼一人でした。
私がアメリカの試合に出るようになってからは そんな彼と話す機会が何度かありました。
彼の息子と私の息子が 試合会場で遊んだりしていたので 話す機会が増えたのですが
彼には こんなアドバイスをもらいました。その頃 私は日本とアメリカの両方の
ツアーをプレーし 1月から12月までの1年中 ゴルフをしていました。そんな私に
「両方のツアーをプレーせず どちらかにしたほうがいい」 「私も(セベ)出来ると思って
チャレンジしたが 無理があったよ」と話してくれました。
現在私が日本にいることも この彼のアドバイスがあったからかもしれません。
アメリカツアーを 早い時期に切り上げた時 人には もう少し頑張ればとも言われましたが
日本が大好きな私にとって その時の選択は 振り返ると良い選択だった気がします。
彼の話に戻りますが 私は彼のような情熱的な天才は これからは出てこないと
思っています。理由はいくつかあります。
①クラブ・ボールなどの道具が進化しすぎて 人間自体の進化が進まない。
20年前に比べて ボールが曲がりづらく作られている。ドライバーが飛ぶように
作られている。打つほうの人間に工夫をさせてくれなくなっている。
②情報が多すぎて 自分だけの形 生き方が作りづらくなっていること。
つまり 今までやってきた経験を大事にせず 人に依存しやすくなっている。
(例えば お父さんやコーチなど)
③子どもの頃から ガツガツ 目をギラギラさせなくても 生きていける
安定した環境がある。
などです。
天才とは 苦しい厳しい環境の中から 人間の持っている力をフルに発揮し
生み出されてくるのだと思います。日本からも 以前には 天才が生まれましたが
今の何も考えずとも 安心して暮らせる時代では 可能性は少ないのかもしれません。
セベは 私を含め ゴルフにかかわるすべての人たちを楽しませてくれました。
ありがとう セベ。
もう あの毛むくじゃらの手と 握手が出来ないと思うと とても残念です。
ありがとう セベ。
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